漫画ブラック・ジャックを全作品読み終わりました。
私が死ぬほど好きなのが「えらばれたマスク」という作品です。
せっかくなのでどれだけ素晴らしくてどれだけ好きなのか熱弁してやります。
以下はネタバレストーリーになりますので、まだの方はご注意下さい。
1.名もなき電話
ある日ブラック・ジャックの元に電話がかかってきます。
「黒男かい?」
「いいえ、うちはブラック・ジャックです。」
「だから黒男だろう・・・
わしだよなつかしいなあ」
驚いたブラック・ジャックは電話を切ろうとしますが、相手は「おまえに会うためにマカオから来た。私の妻を手術してほしいから、青山で待っている」と告げます。
電話を切ると無言でうなだれながらも考えるブラック・ジャック。
しばらくベットで考えながらも、思いたったように車を運転し家を出る。
2.父との再会
指定の場所に向かうと待っていたのは父だった。
挨拶もそこそこに患者を連れてくるようにブラック・ジャックは指示する。
連れてきた父の妻は「ハンセン氏病」にかかっていて、顔を美容整形してほしいというのが父の希望だった。
それに加えて、おまえをわしの息子として呼び戻したいとブラック・ジャックに告げるのだった。
3.反論するブラック・ジャック
あまり父の身勝手さにブラック・ジャックは過去を引き合いに反論します。
- 自分と母を捨てて海外へ女と逃げたこと
- どれだけ自分と母親が苦しんだか
- あんな素敵な母をなぜ捨てたのか?
しかし、父は何も答えません。
4.妻を世界一の美女に
「整形する顔のご注文は?」
ブラック・ジャックの問いに父は「世界一の美女にしてほしい」と答える。
「そりゃあできますよ。しかし、醜い顔にして復讐したらどうする?」
と問いかけるブラック・ジャックに「そんなことはしないはずだ。」と答える父。
「7000万で受けましょう」とブラック・ジャックは提案し父も承諾する。
ここでのブラック・ジャックの個人的な感情がありながらも、誠意も表している緊迫とし他やり取りが好き。
5.いまでもおかあさんを愛してますか?
世界一の美女にするという父の希望を承諾したブラック・ジャック。
「いまでもおかあさんをすこしは愛していますか?」
そう問いかけるブラック・ジャックに父は「今は愛していない。愛しているのは今の家内だ。」と答える。
無事、手術は成功。
「本当に世界一の美女にしたんだろうな?」と問いかける父に
「保証しますよ。少なくても私はそう思いますね」と答えるブラック・ジャック。
6.包帯をとると・・・
手術から30日後、包帯をとる日を迎える。
それを見た父は「あの女の顔だ!!」と驚愕する!
ブラック・ジャックは、父の現在の妻の顔を自分の母の顔に整形したのである。
「なぜ妻の顔にした?
世界一の美女にしろといったはずだぞ」
そう怒る父にブラック・ジャックは
「私はおかあさんこそ世界一美しい人だったと信じていますのでね。
これから一生あなたはいやでもお母さんの顔とむかいあってくらすんです」
終
まとめ
これがブラック・ジャックの「えらばれたマスク」です。
医師として人間としての要望に応えながらも父に復讐する物語です。
父とのやり取りで垣間見えるブラック・ジャックの人間性と過去の憎しみについての告白、愛しい母への純粋な想い、「いまでもおかあさんをすこしは愛していますか?」と最後にチャンスを与える正々堂々さに感服します。
復讐と聞くと悪意が強いものを思い浮かべますが、これは純粋な愛と相手の要望に応えながらの復讐なので、野蛮で悪意が強い復讐とはまるで違うものでしょう。
冷静に見て、物語の構成も見事でコマ割りに一切の無駄がなく、たった18ページでこんなにも密度の濃い物語が書かれています。
本当に素晴らしくて、まだ読んで2週間あまりですが10回は読んでいます。
ちなみにブラック・ジャックと似たような経験をしているとこの話が死ぬほど好きになります。
以上が「えらばれたマスク」の物語であり、私がブラック・ジャックで一番好きな神回です。
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「えらばれたマスク」はブラック・ジャック4巻に掲載されています。
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紙で読むのもいいですが、電子書籍だとスマホから気軽に読めるので、電車の中とかでも読むことができて便利ですよ。
確かに名作ですよね。とても共感します 更に私が思うにBJはどちらを答えても「母親の顔」に整形したのではと思いました。父親の「母親にはすまないと思ってるが今愛しているのは今の家内だ」という言葉で、今でも母親を気遣ってるというのがわかります BJの母はなぜ「お父さんを許してあげて」と言ったのか?その本意をBJは憎しみのあまり見誤っています。「こんなことしたけど彼(父)は私を忘れられないわ」という絶大な自信を感じました。 ところでこのドラマのその後どうなったでしょうか
父親は元嫁への後悔と懺悔に苦しみ抜くというのもありですが、もうひとつの可能性として、整形された妻からの変わらない愛の言葉に元妻と愛する今の嫁とが頭の中で合体して「俺は許されたw 長い間の後悔が吹っ切れた!」とBJの思惑と真逆の結末も考えられないでしょうか 人の心は一辺倒で測れない物がありますね。
長文大変失礼しました。どうか笑って流して下さいませ
えもさん
>コメントありがとうございます。
確かに名作ですよね。とても共感します
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はい、素晴らしい名作かと思います。
共感頂き、ありがとうございます。
更に私が思うにBJはどちらを答えても「母親の顔」に整形したのではと思いました。
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私はそうは思いません。
BJは、フェアです。
そんな小悪党な、子供じみたことはしないと考えております。
BJの母はなぜ「お父さんを許してあげて」と言ったのか?その本意をBJは憎しみのあまり見誤っています。「こんなことしたけど彼(父)は私を忘れられないわ」という絶大な自信を感じました。
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自信??ではないかと思います。
このままではBJが父を憎んで生きていってしまうことをBJ母はわかっていたので、そんなBJになってほしくないので言ったのかと思います。
また、シビアな現実として、母も父に依存していて共依存状態だったための発言、その2点だと考えております。
ところでこのドラマのその後どうなったでしょうか
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「骨肉」という作品に続きがありますので気になるのであればお読み下さい。
ネタバレは控えます。
もうひとつの可能性として、整形された妻からの変わらない愛の言葉に元妻と愛する今の嫁とが頭の中で合体して「俺は許されたw 長い間の後悔が吹っ切れた!」とBJの思惑と真逆の結末も考えられないでしょうか
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合体して考える、、というのは考えにくいでしょう。あまりに突拍子な発想で不自然に思えます。
わたしも「えらばれたマスク」は好きです。
ブラックジャックはもし、お父さんから「お前の母親は愛していた。愛していたが、申し訳ないことをしたと思う。今は今の妻を愛してると言いようがない。申し訳ないことをしたと思う。」と言っていたなら違う顔にしたと思う。お父さんは勝手過ぎるからブラックジャックは敢えて聞いたと思う。賭けでも何でもなく答えは分かっていて敢えて聞いたと思う。それこそが凄いと思うのです。流石ブラックジャック。
快刀乱麻さん
コメントありがとうございます。
素晴らしい作品ですよね。
ブラックジャックはもし、お父さんから「お前の母親は愛していた。愛していたが、申し訳ないことをしたと思う。今は今の妻を愛してると言いようがない。申し訳ないことをしたと思う。」と言っていたなら違う顔にしたと思う。
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同感ですね。
ブラックジャックが言っていたように、ちゃんと父親にチャンスを与えている部分も好きです。
賭けでも何でもなく答えは分かっていて敢えて聞いたと思う。
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冷静な部分としては、わかっていたかと思います。
ただ、個人的には、子供心としてのあんなひどい父親でも、もしかしたら今でも母さんを…
という願いも一部あったかと思っております。
息子は母親を尊敬しているところがありますね。最初の異性が母親なんですし。
エコエコアザラクの中にありました。
ある男が殺される夢を見てるから何とかして欲しいと黒井ミサに相談を持ちかける。調べたら大丈夫だと伝える。でも結局殺された。その犯人は息子。息子は母親に対して偉大な尊敬を持っていた。父親は違う。だらしない女だったとばらした。それに耐えきれず父を殺したという話。息子は母親の存在は一番なのだと。ブラックジャックが世界一美しい人だったと信じていますのでね。の台詞は本当にわかる。顔つきでもない。存在そのものが。流石ブラックジャック。